シロダモ

シロダモ:詳細とその他情報

植物の概要

シロダモ(学名:Myrica rubra)は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小高木または低木です。その名前は、葉の裏が白っぽいことから「白だも」に由来すると言われています。日本国内では、太平洋側の暖温帯から亜熱帯にかけての地域、特に房総半島以南の海岸近くの照葉樹林内に自生しています。また、朝鮮半島南部、中国、台湾、ベトナムなどにも分布しており、東アジアの温帯から熱帯にかけて広く見られる植物です。

シロダモは、その特徴的な果実から「ヤマモモ」と混同されることがありますが、両者は異なる植物です。ヤマモモはヤマモモ科に属し、果実の形状や味に違いがあります。シロダモの果実は、熟すと暗赤色から紫色になり、食用にもなります。

形態的特徴

樹形と樹皮

シロダモは、一般的に樹高が2~10メートル程度に成長しますが、条件によってはそれ以上に大きくなることもあります。樹皮は、若い頃は滑らかで暗褐色ですが、老木になるとやや粗くなります。枝は、若いうちは緑色を帯びていますが、次第に褐色を帯びてきます。

葉は、互生し、長さ5~15センチメートル、幅2~4センチメートルほどの長楕円形または披針形をしています。先端は尖り、基部は楔形、縁には鋸歯はほとんどなく、全縁であることが多いですが、若い葉には微細な鋸歯が見られることもあります。葉質はやや厚く、革質で、表面は光沢のある緑色をしています。注目すべきは、葉の裏側で、細かい毛が密生しており、これが白っぽく見えるため、「シロダモ」の名前の由来となっています。この毛は、特に若い葉で顕著に見られます。

シロダモは、雌雄異株の植物であり、花は小さく目立ちません。開花時期は、一般的に5月から6月頃です。雄花は、葉腋に集散花序を形成し、淡黄色の花弁はなく、雄しべが目立ちます。雌花も同様に葉腋に集散花序を形成しますが、花弁はなく、雌しべが発達しています。

果実

シロダモの果実は、偽果(ぎか)と呼ばれ、肉厚で球形をしています。直径1.5~2.5センチメートルほどになり、熟すと初夏から夏にかけて、鮮やかな暗赤色から紫色に変化します。果皮はやや厚く、内部には1~2個の種子を含んでいます。果肉は多汁で、特有の風味があり、甘酸っぱい味覚が特徴です。この果実は、食用や果実酒の原料としても利用されます。

生育環境と分布

シロダモは、日当たりの良い場所から、やや日陰になる場所まで適応しますが、日当たりの良い場所の方がよく成長する傾向があります。土壌は、水はけの良い肥沃な土壌を好みます。照葉樹林の林床や林縁部、海岸近くの斜面などに自生していることが多いです。耐陰性も比較的ありますが、日照不足が続くと花付きや実付きが悪くなることがあります。

日本国内では、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県などの太平洋側の暖温帯から亜熱帯地域に分布しています。国外では、朝鮮半島南部、中国の南部から中部、台湾、ベトナム北部などに分布しています。

利用と用途

食用

シロダモの果実は、古くから食用とされてきました。熟した果実は、そのまま生食するほか、ジャムやゼリー、果実酒の原料としても利用されます。独特の甘酸っぱい風味は、他の果物にはない魅力があります。近年では、健康食品としての注目も集めており、アントシアニンなどのポリフェノール類が豊富に含まれていることから、抗酸化作用が期待されています。

園芸・観賞用

シロダモは、その美しい葉の裏の白さや、夏に実る鮮やかな赤紫色の果実が観賞価値を持つため、庭木や公園樹としても利用されます。常緑樹であるため、年間を通して緑を楽しむことができます。ただし、移植を嫌う性質があるため、植え付けは慎重に行う必要があります。

その他

シロダモの材は、木材として利用されることもありますが、それほど一般的ではありません。また、伝統的な利用法としては、民間療法で利用されることもあったようです。

栽培と管理

シロダモの栽培は、比較的容易ですが、いくつか注意点があります。

植え付け

適期は、春(3月~4月)または秋(9月~10月)です。植え付け場所は、日当たりの良い場所か、半日陰の場所を選びます。水はけの良い、肥沃な土壌を好みます。植え付けの際は、根鉢を崩さずに、深植えにならないように注意します。

水やり

基本的には、雨水に任せても問題ありませんが、夏場の乾燥期には、適宜水やりを行います。特に、植え付け後間もない株や、鉢植えの場合は、乾燥に注意が必要です。

肥料

生育期(春~秋)に、緩効性の化成肥料や有機肥料を適宜施します。ただし、肥料のやりすぎは、樹勢を弱めることがあるため注意が必要です。

剪定

自然樹形を楽しむのが一般的ですが、大きくなりすぎるのを防ぎたい場合や、形を整えたい場合は、不要な枝や混み合った枝を剪定します。剪定の適期は、花後(夏頃)または落葉期(冬)です。

病害虫

比較的病害虫には強い方ですが、まれにカイガラムシやアブラムシが発生することがあります。早期発見・早期駆除が大切です。

まとめ

シロダモは、その美しい葉の裏の白さ、夏に実る鮮やかな果実、そして独特の風味を持つ食用果実として、多様な魅力を持つ植物です。暖温帯から亜熱帯の照葉樹林に自生し、食用や観賞用として利用されてきました。栽培も比較的容易で、庭木としても適しています。そのユニークな特徴から、今後も注目される植物と言えるでしょう。