イイギリ

イイギリ(飯桐):詳細・その他

イイギリの概要

イイギリ(飯桐、学名:Idesia polycarpa)は、シナノキ科(またはイイギリ科)イイギリ属の落葉高木です。日本、朝鮮半島、中国などに分布し、山野に自生しています。その名前の由来は、果実が食用になり、飯(めし)に混ぜて炊いたことから「飯桐」と名付けられたと言われています。しかし、現代では一般的に食用とはされていません。初夏に花を咲かせ、秋には鮮やかな赤い果実をつけ、冬まで観賞できます。その姿は、庭木や公園樹としても親しまれています。

イイギリの形態的特徴

イイギリは、一般的に高さ10~15メートルほどに成長する落葉高木です。樹皮は灰褐色で、滑らかです。葉は互生し、卵状円形または卵形で、長さ5~15センチメートル、幅4~12センチメートルほどになります。葉の縁には浅い鋸歯があり、先は尖ります。葉の裏面には軟毛が密生しており、触るとややざらざらしています。葉柄の基部には2個の腺体が見られることがあります。

花の特徴

イイギリの花期は6月~7月です。花は葉腋(葉の付け根)から出る集散花序で、淡黄緑色をしています。花は小さく、直径5ミリメートル程度です。花弁と萼片はそれぞれ5枚ですが、花弁は退化して目立たないものも多いです。花は雄花と雌花が別々の株につく雌雄異株です。香りはほとんどありません。

果実の特徴

イイギリの果実は液果で、球形または卵形、直径5~8ミリメートルほどの小さな実です。秋になると鮮やかな紅色に熟し、冬まで枝に残るため、彩り豊かな景観を作ります。果実には2~4個の種子が含まれています。この赤い果実が、イイギリの最も印象的な特徴の一つです。

イイギリの生育環境と栽培

イイギリは、日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。土質を選ばず、比較的丈夫で育てやすい植物です。耐寒性、耐暑性ともにありますが、極端な乾燥や過湿には注意が必要です。

植え付けと移植

イイギリの植え付けは、春(3月~4月)または秋(9月~10月)に行うのが適しています。根鉢を崩さずに、植え穴に植え付けます。移植も同様の時期に行います。

水やりと施肥

植え付け直後は、たっぷりと水を与えます。その後は、土の表面が乾いたら水を与えます。特に夏場の乾燥には注意が必要です。施肥は、春(3月~4月)に緩効性肥料を株元に与えるのが一般的です。

剪定

イイギリは自然樹形を楽しむことができますが、大きくなりすぎるのを防ぎたい場合や、混み合った枝を整理したい場合には剪定を行います。剪定の適期は落葉期(12月~2月)です。不要な枝、交差した枝、徒長枝などを切り戻します。ただし、強剪定は花付きや実付きに影響を与える可能性があるので注意が必要です。

イイギリの用途と利用

イイギリは、その美しい赤い実から、観賞用として庭園や公園に植えられることが多いです。生垣としても利用できます。また、紅葉も楽しめるため、秋の景観を豊かにします。

鳥への恵み

イイギリの赤い果実は、多くの野鳥にとって重要な食料となります。特に冬場に餌が少なくなる時期に、鳥たちの命を支える貴重な栄養源となっています。ヒヨドリやツグミなどがよく果実をついばみに来ます。

その他

イイギリは、比較的病害虫の被害が少なく、育てやすい植物です。実生や挿し木で増やすことができます。雌雄異株であるため、実をつけさせるには、雄株と雌株の両方が必要となります。

まとめ

イイギリは、初夏の淡黄緑色の花と、秋から冬にかけての鮮やかな赤い実が特徴的な、日本固有の美しい落葉高木です。丈夫で育てやすく、観賞用としての価値が高いだけでなく、野鳥たちの食料ともなる生態系に貢献する植物です。庭木や公園樹として四季折々の変化を楽しませてくれます。