ニワウルシ

ニワウルシ(庭漆)の詳細・その他

ニワウルシとは

ニワウルシ(庭漆、学名:Ailanthus altissima)は、ウルシ科ニワウルシ属の落葉高木です。別名、神樹(しんじゅ)、七 pokok(ななつぼく)、唐木(とうぼく)、偽漆(ぎしつ)などとも呼ばれます。その名前の通り、庭木として植えられることがありますが、近年ではその繁殖力の強さから、特定外来生物に指定され、要注意外来生物として駆除の対象となることもあります。

形態的特徴

樹形と樹皮

ニワウルシは、比較的高く成長し、高さは20メートルを超えることもあります。樹冠は広がり、やや不規則な形になることがあります。樹皮は、若木のうちは滑らかで灰褐色ですが、老木になると縦に浅く裂け、灰黒色になります。触った感触はややざらざらしています。

ニワウルシの葉は、複葉(ふくよう)であり、複数の小葉(しょうよう)が集まって一枚の葉を形成しています。小葉は卵形から披針形(ひしんけい)で、縁には不規則な鋸歯(きょし)があります。葉の長さは30~60センチメートルにも達し、非常に大きいです。葉を揉むと独特の強い匂いがします。この匂いを嫌う人もいますが、一部ではこの匂いを虫除けに利用しようとする試みもありました。

ニワウルシの花は、夏(6月~8月頃)に開花します。花は円錐花序(えんすいかじょ)を形成し、淡黄緑色で目立たない色をしています。花弁は5枚で、雄しべ、雌しべともに5本ずつです。花には芳香があり、多くの昆虫が蜜を求めて集まってきます。

果実

果実は、秋(9月~10月頃)に成熟します。果実は痩果(そうか)と呼ばれるタイプで、細長い翼状の膜(そう果)を持ち、風によって遠くまで運ばれます。この風散布能力の高さが、ニワウルシの旺盛な繁殖力の一因となっています。果実の色は赤褐色を帯びます。

生態と繁殖

繁殖力

ニワウルシの最大の特徴は、その驚異的な繁殖力にあります。種子による繁殖はもちろんのこと、根茎からも新しい芽を出し、地下茎を伸ばして広範囲に繁殖します。このため、一度定着すると駆除が非常に困難になります。都市部や荒れ地、日当たりの良い場所を好んで生育し、他の植物の生育場所を奪うことがあります。

分布

原産地は中国東北部から朝鮮半島、台湾にかけてと考えられています。日本では、明治時代に観賞用や防火樹として持ち込まれましたが、その繁殖力の強さから、本来の植生を脅かす存在として問題視されています。現在では、全国各地で野生化しており、特に都市部や河川敷、線路脇などでよく見られます。

利用と問題点

過去の利用

かつては、その成長の速さや丈夫さから、庭木や公園樹として利用されていました。また、葉の形状がウルシに似ていることから「庭漆」と名付けられましたが、ウルシのような漆(うるし)を採取することはできません。一部では、その特徴的な匂いを活かした利用法が模索されたこともありますが、一般的ではありませんでした。

環境問題

ニワウルシの最も深刻な問題点は、その繁殖力の強さによる生態系への影響です。在来の植物を駆逐し、生物多様性を低下させる可能性があります。また、コンクリートの隙間や建物の基礎に根を張り、建物を傷める原因となることもあります。そのため、多くの自治体では、ニワウルシの駆除を呼びかけたり、専門業者による駆除作業を行ったりしています。

法的規制

その生態系への影響から、ニワウルシは日本の「特定外来生物」に指定されています。特定外来生物に指定された生物は、飼育、栽培、保管、運搬、輸入などが原則として禁止されており、違反した場合には罰則が科せられます。個人で駆除する場合も、その種子や根茎を拡散させないよう注意が必要です。

駆除方法

ニワウルシの駆除は、その繁殖力の強さから容易ではありません。効果的な駆除方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 伐採: 根本から伐採することが基本ですが、伐採しても地下茎や根からすぐに再生してきます。
  • 除草剤の使用: 根気強く除草剤を散布することで、地下茎からの再生を抑制することができます。ただし、使用には周囲の植物への影響も考慮する必要があります。
  • 熱湯: 根元に熱湯をかけることで、地下茎の生育を阻害できる場合があります。
  • 根本からの掘り起こし: 地下茎をできるだけ深く掘り起こし、完全に除去することが重要です。

個人での駆除が難しい場合は、専門の業者に相談することも検討しましょう。

まとめ

ニワウルシは、かつては庭木として親しまれた植物ですが、その旺盛な繁殖力と在来生態系への脅威から、現在では「特定外来生物」として規制の対象となっています。その特徴的な大きな葉と独特の匂い、そして迅速な成長は、一度見ると忘れられない印象を与えます。しかし、その力強さゆえに、環境保全の観点からは、適切な管理と駆除が求められる植物と言えるでしょう。