シウリザクラ

シウリザクラ(遅咲き桜):詳細・その他

シウリザクラの基本情報

分類と名称

  • 科名: バラ科
  • 属名: サクラ属
  • 和名: 遅桜(おそざくら)、花遅桜(はなおそざくら)、遅咲桜(おそざくら)、シウリザクラ
  • 学名: Cerasus serrulata ‘Shiuri’
  • 英名: Shiuri Cherry

シウリザクラは、その名の通り、一般的なソメイヨシノなどの早咲きの桜よりも遅れて開花する桜の品種です。学名からも、サクラ属であり、八重咲きのサトザクラの園芸品種であることがわかります。地域によっては、「遅桜」「花遅桜」などとも呼ばれ、春の訪れを長く楽しませてくれる存在として親しまれています。

開花時期と特徴

シウリザクラの最大の特徴は、その遅い開花時期にあります。例年、4月下旬から5月上旬にかけて開花し、ゴールデンウィークの頃に満開を迎えることが多いです。これは、ソメイヨシノの開花時期が3月下旬から4月上旬であることと比較すると、1ヶ月近く遅い開花となります。この遅咲きであるため、桜前線が北上し、他の桜が散り始めた頃に、ちょうど見頃を迎えるという、地域によっては珍しい光景を見ることができます。

花は八重咲きで、花弁はやや厚みがあり、淡い紅色をしています。蕾の時点では濃い紅色をしていますが、開花が進むにつれて色が薄くなり、満開時には淡いピンク色、あるいは薄紅色になります。花弁の数は品種によって多少のばらつきがありますが、一般的には20枚以上あります。花は比較的大輪で、豪華な印象を与えます。花にはかすかな芳香があるとも言われています。

樹形と葉

シウリザクラの樹形は、一般的に箒状(ほうきじょう)に広がる傾向があります。枝は比較的細めで、しなやかさがあり、全体として優雅な雰囲気を持っています。成熟すると、ある程度の高さと広がりを持つようになりますが、極端に大きくなることは少ないため、庭木としても扱いやすい品種と言えるでしょう。葉は、一般的なサクラの葉と同様に、長楕円形から卵状楕円形で、先端は尖っています。花が終わる頃に葉が展開し始め、夏には緑葉が木を覆います。秋には紅葉することもありますが、その紅葉の色づきは品種や個体によって異なります。

シウリザクラの栽培と管理

植え付け

シウリザクラの植え付けは、落葉期である晩秋から初冬(11月~12月頃)、または春の芽出し前(2月~3月頃)に行うのが適しています。ただし、移植を嫌う性質があるため、一度植え付けた場所では、できるだけ移動させないようにすることが大切です。植え付け場所は、日当たりが良く、風通しの良い場所を選びましょう。土壌は、水はけの良い、やや酸性の土壌を好みます。粘土質の土壌の場合は、腐葉土や堆肥などを混ぜて、水はけを改善することが推奨されます。

植え付ける際は、根鉢よりも一回り大きな植え穴を掘り、根鉢を崩さずに丁寧に植え付けます。植え付け後は、たっぷりと水を与え、株元が乾燥しないように注意します。支柱を立てて、株を固定することも有効です。

水やり

植え付け後の若木や、乾燥しやすい時期には、定期的な水やりが必要です。特に、夏場の乾燥期には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。しかし、過湿は根腐れの原因となるため、水のやりすぎには注意が必要です。成木になれば、自然の降雨で十分な場合が多いですが、長期間雨が降らない場合は、様子を見て水やりをしてください。

肥料

シウリザクラは、それほど多くの肥料を必要としませんが、植え付け時と、開花後(5月~6月頃)に、緩効性の化成肥料や有機肥料を株元に施肥すると、生育が促進されます。肥料のやりすぎは、かえって生育を悪くすることがあるため、適量を守ることが重要です。特に、夏場の高温期に肥料を与えるのは避けましょう。

剪定

シウリザクラは、自然樹形を楽しむのが一般的であり、積極的に剪定する必要はほとんどありません。ただし、混み合った枝や、枯れ枝、病害虫に侵された枝など、樹勢を弱める原因となる枝があれば、花後(5月~6月頃)に、それらの枝を取り除く程度に留めます。不要な枝を剪定すると、風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。太い枝の剪定は、樹木への負担が大きいため、できるだけ避けるようにしましょう。剪定を行う場合は、切り口に癒合剤を塗布すると、病原菌の侵入を防ぐことができます。

病害虫

サクラ類に共通する病害虫としては、テングス病炭疽病すす病などの病気や、アブラムシカイガラムシコガネムシの幼虫などの害虫が挙げられます。これらの病害虫の発生を予防するためには、日頃から樹の状態を観察し、早期発見・早期対処を心がけることが重要です。風通しを良く保つこと、適切な施肥を行うことも、病害虫への抵抗力を高める上で効果的です。

病害虫が発生した場合は、早期に適切な薬剤で対処します。ただし、殺虫剤や殺菌剤の使用は、環境への影響も考慮し、必要最低限に留めることが望ましいです。

シウリザクラの楽しみ方とその他

鑑賞

シウリザクラの最大の魅力は、その遅咲きであることです。4月下旬から5月上旬にかけて開花するため、ソメイヨシノが終わった後に、春の訪れをもう一度感じさせてくれます。ゴールデンウィークの連休などを利用して、ゆっくりとお花見を楽しむことができます。八重咲きの淡い紅色の花は、上品で華やかな印象を与え、見る者に癒しをもたらします。古くから「遅桜」として親しまれてきた理由がうかがえます。

由来と品種

シウリザクラの正確な由来については諸説ありますが、一般的には里桜(サトザクラ)の園芸品種の一つと考えられています。里桜とは、野生のヤマザクラから改良された、または自然交配によって生まれた、様々な園芸品種の総称です。シウリザクラも、その多様な里桜の仲間として、古くから栽培されてきた歴史があります。他の遅咲きの桜品種と比較すると、その開花時期の遅さや、花の形、色などで区別されます。

植栽場所

シウリザクラは、その遅咲きの特性から、景観のアクセントとして活用されることがあります。公園や庭園、寺社仏閣などで、他の桜とは異なる時期に花を咲かせ、訪れる人々を楽しませてくれます。また、春の訪れが遅い地域や、桜前線の終着点となるような地域では、貴重な春の象徴として大切にされています。桜並木の一部として植栽するよりも、一本のシンボルツリーとして、あるいは他の花木との組み合わせで植栽する方が、その魅力を引き立てやすいかもしれません。

まとめ

シウリザクラは、4月下旬から5月上旬にかけて開花する、淡い紅色の八重咲きの遅咲き桜です。その遅咲きの特性から、春の訪れを長く楽しめる貴重な存在として、古くから親しまれてきました。栽培においては、日当たりと水はけの良い場所を選び、過度な剪定を避けることが重要です。病害虫対策を適切に行うことで、健やかに育ち、毎年美しい花を咲かせてくれるでしょう。春の終わりを彩るシウリザクラは、その優雅な姿で、私たちの心を和ませてくれます。