コシロノセンダングサ:詳細とその他
基本情報
科・属
コシロノセンダングサ(小白の栌葉草)は、キク科コセンダングサ属(Bidens)に分類される一年草です。
和名・別名
和名は「コシロノセンダングサ」で、白い舌状花(花びらのように見える部分)を持つことから名付けられました。別名としては、「コシロバナ」「コバナセンダングサ」などと呼ばれることもあります。
学名
学名は Bidens alba var. minor です。Bidens 属は、ラテン語の “bi”(二つ)と “dens”(歯)に由来し、果実の先端にある2本の芒(のげ)が鍵状になっている様子を表しています。
原産地
熱帯アメリカ原産とされていますが、現在では世界中の暖温帯から熱帯にかけて広く分布しています。
開花期
晩夏から秋にかけて、おおよそ8月から11月頃にかけて開花します。
草丈
一般的に30cmから60cm程度ですが、生育環境によってはそれ以上に伸びることもあります。
特徴
全体像
コシロノセンダングサは、比較的細い茎と対生する葉を持ち、全体的に繊細な印象を与える植物です。草姿はやや広がり気味になることもあります。
葉
葉は長楕円形から卵状披針形をしており、縁には粗い鋸歯があります。葉の表面には毛がほとんどなく、滑らかな質感です。葉の展開は対生です。
花
コシロノセンダングサの最も顕著な特徴は、その白い舌状花です。中心部にある筒状花は黄色く、その周りを囲むように5枚から8枚程度の純白の舌状花が放射状に展開します。この白い舌状花が、他のセンダングサ類との大きな違いであり、名前の由来にもなっています。花は直径1cmから2cm程度と小ぶりですが、数多く咲くため、群生すると見応えがあります。
果実
果実は痩果(そうか)で、黒褐色をしています。先端には2本の芒があり、これが衣服や動物の毛に付着して種子を散布する役割を果たします。この芒の形状が「センダングサ」という名前の由来ともなっています。
栽培と管理
日当たり
日当たりの良い場所を好みます。日照不足になると花付きが悪くなったり、茎が徒長したりする可能性があります。
水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。ただし、過湿にならないように注意が必要です。特に夏場の高温期には、水切れを起こさないように注意しましょう。
土壌
水はけの良い土壌であれば、特に選ばずに育ちます。一般的に市販されている草花用培養土で問題ありません。
肥料
生育期(春から秋)には、緩効性化成肥料を月に1回程度施すか、液体肥料を週に1回程度与えると、より元気に育ちます。ただし、肥料の与えすぎは葉ばかり茂り、花付きが悪くなることがあるため注意が必要です。
越冬
一年草のため、冬には枯れます。しかし、種子で越冬するため、翌年も自然に芽を出すことがあります。寒冷地では、霜に当たる前に種子を採取しておくと安心です。
病害虫
比較的病害虫に強い植物ですが、環境によってはアブラムシやハダニが付くことがあります。見つけ次第、薬剤で駆除するか、早期に洗い流すなどの対策を行いましょう。
増やし方
種まきで増やすのが一般的です。春(3月~5月)に種をまくのが適期です。発芽温度は20℃前後で、発芽まで1~2週間程度かかります。実生でよく増えるため、こぼれ種からも自然に増えることがあります。
利用方法
観賞用
白い舌状花が可愛らしく、晩夏から秋にかけて庭や花壇を彩ります。他の草花との組み合わせもしやすく、寄せ植えにも向いています。切り花としても利用でき、花束やアレンジメントに明るい雰囲気をもたらします。
その他
一部の地域では、薬用植物として利用されることもありますが、食用にする場合は専門家の指導のもと行うべきです。
まとめ
コシロノセンダングサは、その名の通り白い愛らしい舌状花が特徴的なキク科の一年草です。晩夏から秋にかけて開花し、庭や花壇に明るい彩りを与えてくれます。栽培も比較的容易で、日当たりの良い場所と水はけの良い土壌があれば、特別な手入れも必要としません。種まきで簡単に増やすことができるため、毎年楽しむことも可能です。その可憐な姿から観賞用として人気があり、切り花としても活躍します。世界中に分布している生命力の強い植物であり、その繁殖力の高さから、時に雑草として扱われることもありますが、その可愛らしい花は多くの人々を魅了しています。適切に管理することで、その美しさを十分に堪能できる植物と言えるでしょう。
